水銀と自閉症の関係

TBS放映後、AFD内の水銀関連投稿メールは合計約100通を越えています。1日の投稿が約15通近くになった日もありました。それだけAFD memberの関心も高かったということでしょう。声明が作られていく過程のメールは除いて、そのいくつかをご紹介したいと思います。またAFD memberのpersonal opinionのコーナーで、宮崎県の矢崎史郎さんが意見を述べておられます。それも是非ご参照下さい。

東京都　足立区花火大会　2003年7月撮影

No.0707：水銀関係の本
No.0711：Dペニシラミン
No.0714：私見
No.0716：RE：Dペニシラミン
No.0735：ショッキング
No.0737：DPTワクチン
No.0764：感想
No.0812：報道特集担当ディレクターからの返信メール
No.0822：勉強会
No.1137：日本小児神経学会雑誌
No.1225：MMRとPDD
No.2217：ワクチンと自閉症との関係を調べた調査を専門家が再検討してもーー

No.0707：水銀関係の本

水銀除去療法について、まさに今日の夕方にテレビで報道されていました。
自閉症と水銀関係の本で、
CHILDREN with STARVING BRAINS
A Medical Treatment Guide for Autism Spectrum Disorder　2nd Edition
Jaquelyn McCandless,MD　BRAMBLE BOOKS
があります。
著者は、お孫さんをはじめ、かなりの自閉症患者にDMSAなどを用いた治療を行い、かなり効果をあげてきたとのことです。５歳までに始めればかなり有効だということです。ただしその年齢をすぎてもある程度は効果を発揮するとのことです。もちろん、いきなりキレートを行うのではなく、その前に毛髪検査や血液検査、尿検査などを十分にする必要があることが強調されています。かなり平易な英語で書かれているようです。
それから、アメリカ自閉症協会のホームページにも水銀と自閉症の関連についてはふれられています。アメリカに限らずいくつかの国では実際に訴訟問題に発展しているようです。

No.0711：Dペニシラミン

キレート剤ですが、D-ペニシラミンが2価の重金属のキレート剤（重金属中毒の治療薬として水銀も対象になっていました。）だと思うのですが、サプリメントではなくこちらを使っては駄目なのでしょうか？またメチル水銀と水銀イオンでは動態が違うのか？という疑問も湧いてきました。どなたかご存知でしたら教えていただけないでしょうか？

No.0714：私見

以下は、私が理解している範囲を記述してみます。
2000年頃に米国を中心に、予防接種用の不活化ワクチンの防腐剤（チメロサール）が自閉症を引き起こすという説が出ました。孫が自閉症の上院議員（米国）が公聴会を行い訴えたのが有名です。同時に、「水銀を減少させる手立てをすると症状が改善した。」ということをいう報告も現れました。日本でも三種混合ワクチン、日本脳炎，インフルエンザ、肝炎ワクチンなどに入っているはずです。
キレート剤が水銀の除去に役立つことは事実ですが、Ｃａなど体内に必須のイオンに対しても働くはずです。またキレート剤が脳血液関門を通過するか否かについては疑問があります。キレート剤は、服用により、消化器症状、悪心・嘔吐が出やすく、副作用の問題があります。
昨年のデンマークからの報告では、「チメロサールが使用されていた1990年までと、使用を中止したその後10年を比較しても自閉症の減少は見られなかった」とする報告があります。
日本でも、水俣病を研究されていた原田先生からは、「自閉症様の症状は見たことがない」というコメントがあったはずです。また「予防接種する以前から症状はあった」という話もありました。
食品で、水銀量が多いのはマグロだったと記憶しています。
現在の一般的コンセンサスとしては、「水銀の関与を完全に否定しきれない」ということでしょうか。
気になるのでしたら、チメロサールの入っているワクチン接種は避け、マグロやキンメダイを食べないのもよいかもしれません。
報告があったため、2000年頃より、日本でもチメロサールの量を10分の1程度にしているはずですし、日本脳炎ワクチンについては、無添加のものも作られているはずです。
昨日の報道特集は知りませんでしたが、どうしてこの時点で、マスコミが取り上げたのかよくわかりません。
私の知っている限り、この20年間にいろいろな情報、特効薬の話が出ましたが、数年で下火になっています。そのうちに、誰もが認める話に行きつかもしれませんが、なかなか難しいようです。
いろいろな情報を、横目に見ながら、焦らず、地道に療育に励むのが、急がば回れかもしれません。

No.0716：RE：Dペニシラミン

キレート剤のＤペニシラミンについては、今までリウマチの治療薬として、多くの症例に使用した経験がありますが、肺線維症や、再生不良性貧血、腎障害、味覚障害等の重篤な副作用を経験しましたので、小児に投与するにはかなりリスクを伴うのではないかと考えます。

No.0735：ショッキング

水銀排出療法について、自分はリアルタイムで見ることが出来ませんでした。
が先日ビデオで見た番組はかなりショッキングな内容でした。
「もしかしたら治るかもしれないーー」。
一瞬でもそう思ったのは自分だけでしょうか？
そうは思ったもののやはりすぐには信じることが出来ず、Medlineで検索しました。
するとーーー出てくるのは否定的な論文ばかりです。
少なくとも「「この治療で治る」と云うような論文（正確にはabstractしか読んでませんが）はみつかりませんでした。
論文が全てとは思いません。しかし番組であれだけのことを云うのならば、少なくともそれなりの裏付けをしてから放送すべきと考えます。
民間療法と同じとまではいいませんが、学術的な検討が余りに足りなすぎる。結論が早急すぎる。
視聴率を上げるためにはImpactの強い見出し、内容が欲しかったのでしょう。しかし自閉症の子をもつ親の気持ちを余りにもわかっていない。
TBSの放映姿勢は許されるものではありません。
しかしーーーーー正直に申し上げれば、今でも揺れ動いている自分がいるのも事実です。
それにかけたい気持ちも、今ひとつ捨てきれずにいます。
矛盾することを云うようですが、それが本音です。

No.0737：DPTワクチン

小児科医としては、これでまたDPTワクチンの接種率が低下することの無いようにとの心配が先に立ってしまいます。ワクチン反対派がまた鬼の首を取ったかのように騒ぐでしょうけれど、百日咳脳症の子のICU管理って辛いですよ。麻疹で子どもが死ぬのも。

No.0764：感想

放送を見て感じたのは、たしかにこのメーリングリストで議論されている、自閉症と水銀との関連は議論のあるところであること。原因として肯定されている報告は少ないなど、随所に予防線が張られている感がする番組でした。しかし、『原因として水銀は否定されているわけではない』という点から始まったかのように思いました。
はっきりさせておかなければならないのは、『自閉症の3/4は、水銀が原因である』といった米国人医師の話について、放送前にほかの医師などの話を聞くなどきちんと調査しているか。キレート剤の治療をしてうまく行かなかったあるいは副作用が問題になっている例を取材したのかどうかをはっきり問うことも必要かと思います。
報道は客観的であるのが基本と思います。オンエアの場合はどちらかの視点からの放送でもやむを得ないかもしれませんが、事前の取材は双方からの見方をした上で、ジャーナリストとしての良心に基づいて放送すべきです。
水銀の話題について、多少知っている小生でも、ふらふら息子のために『藁をもすがる気持ちがあるのなら』使ってあげるべきなのかと思わされる内容でした。全国の自閉症を持つ親御さんの動揺は、どれほどかと察します。

No.0812：報道特集担当ディレクターからの返信メール

昨日報道特集の担当ディレクター名で問い合わせをした人全てに返信のメールが配信されました。
私の所にもきましたので全文を紹介させて頂きます。

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＊お問い合わせ下さった皆様＊


　少しずつ、木々の芽がふくらみ始め、風が優しくなる季節です。
　さて、先日は私ども「報道特集」での「新説！？自閉症の意外な原因〜親子の挑戦」をご覧下さり、また、内容についてのお問い合わせを頂き、有り難うございました。
みなさまからのお問い合わせの数は予想をはるかに上回るもので、担当ディレクターの私一人でお答えすることが困難になってまいりましたので（今までは番組スタッフが手分けしてお答え申し上げておりましたが、担当本人からメールを差し上げたく思い、少しずつ取り組んで参りました。）、大変申し訳ございませんが、みなさま宛てに返信させて頂きたく存じます。


＜番組の姿勢＞
　番組では、自閉症の治療としての水銀排出療法は科学的にまだ認められていないこと、それでも専門家の指導のもとでこれを適用して症状が改善したと話す家族がいること、それでも全ての自閉症の方が水銀排出療法で症状が改善するわけではないことなどをご紹介致しました。
　それでもなお番組で取りあげたのは、病院に行ったら「あなたの子供は一生自閉症です。治りません。」とのみ言われ、何の解決策も示されなかったという親御さん達にたくさん出会ったこと、そういう方々に、リスクは伴うけれど良くなるかも知れない、良くなったと言う人がこんなにいる、という療法を選択肢の一つとして提示できたらと思ったことがあります。
　危険性についてはさまざまな意見があります。ただ、その一つとしてＶＴＲ内でインタビューに答えて下さっていたカトラー博士は「とにかくまず飲ませてみること。飲ませてみていつまでも悪い変化ばかり出たらそこでやめればいい。そこでやめれば全く問題は無いし、元の状態に戻るので、命に関わるというようなことは無い。」と話しておられました。


＜キレート剤はどこで手にはいるか＞
　これは一番お問い合わせが多かった質問です。
　ＶＴＲに出演して下さった瀧口さん（仮名：関東近郊在住）、長谷川さん（仮名：都内在住）が使っていらっしゃり、なおかつ水銀中毒の治療法として使われていたキレート剤を自閉症の治療に適用することを発案したカトラー博士も用いているキレート剤は、「ＡＬＡ」と「ＤＭＳＡ」の二種類です。
　この二つは「薬」ではなく、「サプリメント＝栄養補助剤」のため、医師の処方が無くても購入できます。　　
　ただし、残念ながら、日本では販売されていません。
　また、国内の医療機関で自閉症治療のためにこの療法を扱っていらっしゃる施設については未確認です。（番組でＩＱテストを実施して下さった施設や水銀抜きの予防接種ワクチンを作っていらっしゃる研究所は水銀排出療法とは無関係です。なお、この研究所のワクチンはチメロサールの代替剤は用いず、防腐剤無しかつ無菌状態を保ったものです。）
　キレーション（水銀排出療法《本来はキレーション＝水銀排出ではありませんが、ここでは便宜上、こう、言い換えます》）を実行している日本の方々はみなさん、アメリカなど、海外からインターネットで個人輸入していらっしゃいます。
　ＤＭＳＡは、脳より下の部位の水銀を排出するもの、ＡＬＡは唯一、脳幹を通り抜けて脳に入ることができるキレート剤で、脳の水銀を排出するものとして使われています。併せて１万円くらいとのことです。
　これらを扱う日本語の通販のページもあるとのことですが、番組では直接、「購入できるサイト」をご紹介することができません。何故なら、水銀排出療法は、体内にある水銀以外のミネラルも排出してしまうなど、副作用もあるため、用法や用量、併せて飲むビタミン剤などが厳密に決まっているため、個人で好きなように服用してしまうと危険が伴うこともあるからです。

＜もっと知りたい・・・＞
　本当は「ここで買えます」ということをお教えできるのが最良だと思うので、私としましても大変歯がゆく、申し訳ない気持ちになります。
　けれども、水銀排出療法について、もっと知りたいんだという方々には、以下のＨＰがとても参考になるのでご紹介させて頂いております。このページではキレート剤を購入することはできませんが、この療法がどういうものでどのように行うのか、どんな説があるのか、などについてカトラー博士が書いた論文を、非常に丁寧に、分かりやすく、日本語に訳されています。番組に出演して下さった、自閉症の男の子をお持ちのお父様が作っていらっしゃるページです。是非、ご覧になって下さい。
http://asdnews.at.infoseek.co.jp

　残念ながら、私ども「報道特集」ではこの企画の再放送を今のところ予定しておりません。また、ご要望があまりに膨大なため、ＶＴＲをお送りすることも、申し訳ございませんが一律でお断り致しておりますので、どうかご了承下さいませ。
　末筆ながら、返信が大変遅くなりまして、申し訳ございませんでした。これからも自閉症について真摯に取材を続け、少しでも多くの朗報をお伝えできるように努力して参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
　なお、当番組からのメールが重複してしまった方にはお詫び申し上げます。　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
かしこ　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＴＢＳ 「報道特集」　○○　○○

No.0822：勉強会

要旨としては、１）ワクチン接種による水銀の問題、２）水銀と自閉症の関係、３）キレート剤の治療に関して。１）については、メチル水銀ではないことと、MMRに水銀の添加はないこと、２）については、ある一部の自閉症に水銀との関連はあるとの論文がありますが、自閉症全般に関しては、関連性は証明されていないこと。論文でも否定的な見解が多い。アメリカ、デンマークでの10万人以上を対象にした調査では否定的見解だったとのことでした。１）２）について、議会で取り上げられたようですが、これも、化学的というより政治的なもの、名声や金のからんだもと断じておりました。３）については、薬に関しては、治験で言うと、Phase1〜2のレベルであり、治療としてはまったく確立されていない。ということでした。ディレク ターの話しですと、DMSAを「サプリメント」といってましたが、DMSAは腎臓のシンチグラムのときに付加されているものだと思います。
　また、療育士の方の報道に関する意見がありましたが、自閉症としての診断がどうであるかということと、キレート剤で改善したのか、単に自然に発達したのをみていたのかも知れないという意見で、いずれにしても、少々偏った報道であったとの見解でした。
　大体、予想された意見ですが、このような報道がでると、ワラをもすがる思いの親が飛び付きそうで非常に危険なことではないかと思います。番組のディレクターの話しも、自閉症児の親御さんへの光明などのようにかかれてますが、自己責任で行う治療の危うさについて分かっているのでしょうか。もし、これによる死者が出た場合にどのように言いわけするつもりなのでしょうか。
　今回の勉強会では、かなり沢山のかたがたが集まりました。（かく言う私も初参加なのですが。）それだけ、関心が高いことなのだと思いました。つまり、自閉症が「治る」というのは、だれにもがもつ夢なのだと思います。今後の医学の中で、本当に科学的に立証されたこの夢のような治療が見いだされることを切に願うのみです。それまで、我々は少しでも子供たちが良い方向に行くように努力するのみだとおもいました。

No.1137：日本小児神経学会雑誌

日本小児神経学会雑誌（脳と発達）の2004年36(5) 441-442ページに日本小児精神神経学会、日本小児心身医学会と共同で「自閉症における水銀・チメロサールの関与に関する声明」を発表しています（H16.6.1）。
１）自閉症の原因が水銀中毒であるといことを積極的に肯定する根拠は乏しい。
２）自閉症とチメロサール含有ワクチンとの間に明確な関連性は見いだされていない。
３）自閉症に対する水銀キレート療法の有効性を指示できる根拠は乏しい。
と明言しています。

No.1225：MMRとPDD

MMRとPDDの関係について、新しい記事が出ていました。
日経のメールマガジンです。

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◆ 2004.9.14　MMRワクチン接種と広汎性発達障害発症はやはり無関係、ケース・コントロール研究で証明

　新３種混合ワクチンMMRの接種と自閉症との関係が指摘された1998年以降、英国におけるMMR接種率は10％低下した。特に麻疹ウイルスと自閉症児の腸病変との関わりが示されたため、ワクチン接種を控える親が増え、結局、麻疹の流行が起こった。今回、英加の研究者たちは、ワクチンと自閉症または他の広汎性発達障害（PDD）との関係を否定する、さらなる証拠を得るために、厳密なケース・コントロール研究を行った。その詳細はLancet誌９月11日号に報告された。
　論文のタイトルは「MMR vaccination and pervasive developmental disorders:a case-control study」

　研究者らは、一般診療で得られた患者の長期的データを匿名で登録した世界最大のデータベース、UK General Practice Research Database（GPRD）を利用した。

　PDDという診断が下った時の記録があり、GPRDが開設された1987年から2001年までの診療記録が残っている人の中で、条件を満たしたのは患者1294人、対照群4469人だった。診断がつく前にMMR接種を受けていた患者は1010人、対照群で同時期までに
接種を受けていたのは3671人で、MMR接種と発症との関係を示す年齢調整後のオッズ比は0.86となった。３歳未満で接種を受けたケースに限定した場合の調整後オッズ比は0.9、３歳以上の接種では0.77、生後18カ月未満の接種で0.9、それ以降の接種は
0.8、また、自閉症のみが対象では0.88、他のPDDでは0.75だった。

　さらにPubMedとEMBASEという文献データベースを利用し、メタ分析も行った。他の３件の研究結果と今回の結果を総合した相対的なリスクは、0.87となった。以上の結果は、MMR接種が、PDD発症リスクを上昇させないことを再度確認した。

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No.2217：ワクチンと自閉症との関係を調べた調査を専門家が再検討してもーー

以下転送可能なニュースを貼り付けます。

Linda Little
Medscape Medical News

Reviewed by Gary D. Vogin, MD

【ワシントン　10月14日】自閉症や糖尿病、喘息といった疾患とワクチンとの間に関係があるという科学的なエビデンスは存在しないことをワクチン安全性の専門家が今回も繰り返して述べた。

エモリー大学医学部（ジョージア州、アトランタ）の小児科教授でエモリー・ワクチンセンターの責任者を務めるWalter Orenstein, MDによれば、現時点での科学的研究では、チメロサール含有ワクチンまたは麻疹・おたふくかぜ・風疹（MMR）ワクチンが自閉症や感染症に関係するとは見なされていない。米国小児科学会（AAP）全国会議における全体セッションの満場の出席者に向けて、博士はこの点を強調した。

それでも、ワクチンの安全性について疑いを持っている親は多い。Orenstein博士が引用した米国小児科医を対象にした2004年の調査によると、勧めたワクチンを親に拒否されたことが1回でもあると答えた医師が、小児科医では92%、家庭医では60%を占めていたという。

親が医師に対して表わす懸念としては、自閉症とチメロサール含有ワクチンとの関係、自閉症とMMRワクチンとの関係、複数回のワクチン接種と糖尿病、自閉症、感染症との関係の可能性などがあった。

医療専門家がワクチンの安全性を保証することが絶対必要だが、臨床試験の科学的土台を検討することも劣らずに大切であるとOrenstein博士は語った。

チメロサールと自閉症との関連に対する親の怖れを高めたものとしてOrenstein博士が言及した調査の一つが、カリフォルニア州の生態学調査である。その調査では、特殊学級における自閉症児童がワクチンによる水銀曝露の推定量と見かけ上関係していることが示された。

「これは生態学調査であった」とOrenstein博士は注釈をつけた。「その結果は、診断コードの変化と同時に、自閉症を受け入れることができる教育サービスの数の変化によるものである可能性がある。そのことは良質の疫学調査でもっと簡単に調べられるはずだ」。

Orenstein博士はさらに、自閉症の小児の特徴と水銀曝露した非自閉症の小児の特徴を比較した米国立衛生研究所（NIH）とハーバード大学の調査について言及した。その調査によると、運動機能、視力、反応速度、知覚、心理について両群はほとんど一致していないことが判ったという。

従来の水銀曝露とチメロサールとの間には大きな違いがいくつかある。「水銀はすべて同じというわけではない」とOrenstein博士は述べた。

Orenstein博士の説明によると、一般的な水銀中毒に関係するメチル水銀とチメロサールに含まれるエチル水銀はまったく異なるものであるという。「エチル水銀は半減期が短く、中毒を伴うことが少ない」。

Orenstein博士が引用したスウェーデンとデンマークの調査では、チメロサールと自閉症との間に関連性は見つからなかった。スウェーデンとデンマークでワクチンにチメロサールを含めないようにした時に、両国で報告されている自閉症発生率にこれといった変化は見られなかったという。

その他の関連する調査を再検討してみると、チメロサールと自閉症との間に関係が見られたとする三つの調査は、疫学調査の質に関して確立されている8個の基準をいずれも満たしておらず、質の基準を5個から7個満たしている4つの調査ではそのような関係は見つかっていないことが判明した。

また、2004年の発表・未発表の調査を医学研究所（IOM）の委員会が再検討した場合も、チメロサール含有ワクチンもしくはMMRワクチンと自閉症との間に因果関係をあることを支持するエビデンスは見つからなかった。

出生6カ月以内に投与される現行のワクチンには、水銀は痕跡程度の量を除き基本的には含まれていないとOrenstein博士は語った。「実質的に水銀は含まれていない」。

今日使用されているワクチンは過去のものに比べてはるかに純度が高められているとして、「抗原性蛋白質が過剰に含まれていることはない」と博士は言う。

Orenstein博士は結びの中でさらにこう付け加えた。「複数回のワクチン接種と喘息または感染症との間に関連性はないことが、疫学的に実証されている」。

「これまでに、自閉症とワクチンとを関連付けようとした調査は十分な数が行われてきた」と米国小児科学会の元会長であるCarden Johnston, MD（アラバマ州、バーミンガム）がMedscapeに答えて語った。「エドワード・ジェンナーが天然痘のワクチン接種を開始して以来このかた、複数の公的機関がワクチンと死亡とを関連付けようとしてきたが、もっと生産的な分野に研究資金を振り向けるべきである」とJohnston博士は締めくくった。

AAP 2005 National Conference and Exhibition: Plenary Session. Presented Oct. 11, 2005.

Medscape Medical News 2005. (C) 2005 Medscape

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